導入事例

CASE STUDIES

クリニックモール学研奈良登美ヶ丘

ドクターPACS for

医療モール内に開設された画像診断クリニックによって質の高い診療を提供(『DIGITAL MEDICINE』Vol.7 No.3)

「学研奈良登美ヶ丘」駅は、2006年3月に近鉄けいはんな線の開通と同時に開業した新駅で、大阪中心部まで電車で約30分のベッドタウンとして新たに開発が進められている。駅前にある「リコラス登美ヶ丘」は、「健康」と「くつろぎ」「暮らしのサポート」をテーマに近鉄が開設した商業施設で、フィットネスクラブや英会話教室などが入る。その核テナントとして07年5月にオープンしたのが「クリニックモール学研奈良登美ヶ丘」だ。
大手建設会社の大林組が企画と運営を手掛ける新しいスタイルのクリニックモールで、CT、MRIを揃え画像診断を専門に行うクリニック「メディカルチャート登美ヶ丘」を併設するのが大きな特長だ。
画像診断クリニックの開設には、(株)ドクターネットが協力し、同社の遠隔画像診断支援サービス、イメージングセンター運営のノウハウが活かされている。
クリニックモールのコンセプトと画像診断クリニックを中心とする診療の現況を、(株)大林組の田中久之・プロパティマネジメント部大阪ヘルスケア事業グループ長(オーク・ヘルスケア(株)代表取締役)、メディカルチャート登美ヶ丘の藤原一央院長、モールで開業しているつづき脳神経外科クリニックの都築俊英院長に取材した。(M)

付加価値の高い新しい医療モールの企画・運営を行う

現在、登美ヶ丘ではメディカルチャート、つづき脳神経外科クリニックの他、こたけ整形外科、まつお内科消化器科、嶋田眼科の5クリニックが診療を行っている。メディカルモールの企画・運営を手がける大林組の田中グループ長は、医療モール事業の取り組みをつぎのようにいう。
「医療モールは、厳しい医療環境の中で経営的なリスクの軽減と施設の競争力を求めるドクター側と、商業施設やオフィスに代わる新しいテナントを求める不動産オーナー側、双方のニーズが合致したことで注目を集めています。大林組には長年の不動産開発の経験と医師の開業サポートの経験がありますので、そのノウハウと経験を活かして、双方にとってのベストのソリューションを提案できるのが強みです」。
登美ヶ丘には画像診断を専門に行うクリニックが設立され、放射線専門医が画像の読影を担当する。医療モールにおける画像診断センターの必要性を田中グループ長はつぎのように語る。
「いま開業される医師のほとんどは大学病院や民間病院での勤務経験があり、質の高い診療を行うには画像診断が不可欠だということを実感されています。それだけに開業されてからも、画像診断を利用したいという要望は強くありました。複数の施設が集まる医療モールでは、もともと検査機器の共同利用をしようという流れはありましたので、CTやMRIといった高度な画像診断機器を揃え、医療モールだけでなく地域の画像診断センターとしての機能を提供することを計画しました。医療モールとしても診療以外の付加価値があれば、競争力が高まります」。
画像診断クリニック「メディカルチャート登美ヶ丘」は、藤原一央院長の意向を元に、機器調達、モール内の画像情報システムの構築、遠隔画像診断サービスの提供などをドクターネットが担当した。藤原一央院長はクリニック解説を経緯をつぎのようにいう。
「国立病院の勤務医から、ドクターネットの紹介で医療モールで画像診断を中心に行う放射線科クリニックを開業しました。モールのクリニックの先生方に対して、常勤の放射線専門医による画像診断を提供することで質の高い診療を行っていただくことと、近隣の医療機関からの検査依頼にも対応します」。

常勤の専門医が質の高い画像診断を提供する

同クリニックには、1.5TのMRI(SignaHDe)、16列マルチスライスCT(BrightSpeed)、X線TV装置などが揃う。ドクターネットは、遠隔画像診断サービスを提供する。
「依頼された検査については、基本的には私がすべて読影し検査結果は当日2時間以内でお返しするようにしています。学会などで不在になる場合は遠隔画像診断サービスを利用できますので、その間の診療が滞る心配はありません。また、ドクターネットにはサブスペシャリティを持った放射線科医が多くいますので、自分の専門外の症例や判断に迷った時などにアドバイスがもらえるのは安心ですね」(藤原院長)。

近隣の医療機関からの検査依頼など病診連携の役割も期待される。
「わざわざ遠くの病院まで行くことなく待ち時間なく検査できます。結果もすぐにお返しすることができますので、患者さんにとっても開業医の先生方にとってもメリットは大きいはずです。MRIやCTを活用した診断の有用性を含めて近隣の医療機関の先生方はもちろん、住民の方々にもアピールして活用していただきたいですね」(藤原院長)。
藤原院長は、国立病院機構京都医療センターで放射線科医長として、画像診断、放射線治療、IVRを行う他、日本臨床腫瘍学会の暫定指導医として外来化学療法を手がけてきた。メディカルチャートでは、がん治療相談の外来を設けた。
「外来でガンの化学療法や免疫療法、血管内治療に対応できます。がんを見つけ抗がん剤の治療や肝がんの動注や塞栓術などに対応できるように、DSAが可能な透視装置や処置室などを設けてあります。セカンドオピニオンや治療中のフォローアップなどこの施設でできるだけ対応していきたいと考えています」。

各クリニックをリンクした画像情報システムを構築

同モールでは、総合案内を設けて、医療モールに来院する患者の情報を一括管理し、患者登録、共通診療カードの発行、予約管理などを行う。診療予約は一括して行えるが、診療情報はたとえ1人の患者がモール内で複数のクリニックを受診していても他からはアクセスできないなど、モールとしての利点とセキュリティについてのバランスをとった工夫がされている。
画像情報については、メディカルチャートを中心として各クリニックを結んだ画像情報システムを構築し、画像はメディカルチャートの画像サーバに一括管理され、各クリニックの画像用モニタで観察できるようになっている。PACSの構築はドクターネットが担当した。
「各クリニックで撮影した画像も含めて、画像データはここで一括管理し、それぞれの画像端末でリアルタイムに観察できます。個人情報保護の点から、画像情報も自分で依頼した検査の画像にのみアクセスできるようになっています。各クリニックとはPHSや直接出向くなどで連絡は密にしています」(田中氏)。
同クリニックモールのつづき脳神経外科クリニックの都築俊英院長に画像診断クリニックの活用を含めた診療の現況を聞いた。
「脳外科の診療にはMRIが不可欠ですので、同じモール内にMRI、CTを揃えた画像専門の施設があることは、ここで開業する大きな決め手になりました。検査依頼が簡単にできますし、その日のうちに結果が出ますので、すぐに患者さんに画像を使って説明することができ、わかりやすく説得力のある診察ができます。MRIがあるということで、MRIを撮って欲しいというリクエストで来院される患者さんもいます。脳ドッグも行っていますので、MRIがなければ診療が成り立ちませんね。1人の眼だけではなくて、放射線専門医のチェックが入ることで、見逃しが少なくなりますので安心感があります」。

放射線科医の新しいライフスタイルの提供

これからの医療モールの展開を田中グループ長は、つぎのようにいう。
「質の高い診療と医療モールの競争力を高めるためにも、画像診断センターを含めた医療モール事業の展開を進めていきます。このスタイルは、放射線科の先生方に開業という新たな選択肢を提供できると考えていますので、医師や技師の方と協力しながら、新たなモデルとして展開していければベストですね」。
藤原院長は「ドクターネットは関西地区では、放射線専門医が常勤するスタイルの画像診断センターを展開していくと聞いています。遠隔読影を駆使して医療モールを中心とした診療の中で画像診断を提供していければいいですね」とのことだ。
医療モールを基点とした画像診断センターによる地域に根ざした展開が期待される。

医療施設情報

クリニックモール学研奈良登美ヶ丘

「学研奈良登美ヶ丘」駅は、2006年3月に近鉄けいはんな線の開通と同時に開業した新駅で、大阪中心部まで電車で約30分のベッドタウンとして新たに開発が進められている。駅前にある「リコラス登美ヶ丘」は、「健康」と「くつろぎ」「暮らしのサポート」をテーマに近鉄が開設した商業施設で、フィットネスクラブや英会話教室などが入る。その核テナントとして07年5月にオープンしたのが「クリニックモール学研奈良登美ヶ丘」だ。