医療施設と自社、医師とをつなぐHUB(ハブ)として
まず最初に、今やっているお仕事についてお聞きします。そもそも「遠隔画像診断」って何でしょうか?
よく病院でCTやMRをとったり、健康診断で胸部のレントゲン写真とかを撮ることがありますよね。あれって、大きな病院であれば放射線科の先生がいらっしゃるんですけど、小さな病院や診療所ではこうした写真を読める先生がいるとは限らないんです。そもそも放射線科の医師というのが、日本では数少ない存在なんです。
そこで、画像を読める医師がいない医療施設が、弊社ドクターネットに「この画像を読んで欲しい」という依頼をします。その画像を、弊社が契約している放射線科の先生にお送りして、病気の有無や可能性を診断レポートとしてまとめていただきます。それを医療施設にお返しするという流れです。
この一連のシステムのなかで関わっているのはどこですか?
全体的に関わっていますね。
まず、医療施設から弊社への依頼や、弊社からレポートをお返しするアプリケーション。それと弊社のオペレーターが、読影のできる放射線科の医師へ依頼案件を割り振るためのアプリケーションや、読影医が依頼を受けたり、画像診断のレポートを書いたりするためのアプリケーションに関わっています。
すでにシステムの基盤はできていると思うのですが、そこからさらにどういった開発をしているのですか?
いま主に関わっているのが、「Tele-DOC(テレドック)」という遠隔健康診断向けのシステム開発です。もともとあるアプリケーションを健診向けに最適化するというプロジェクトを進めています。
たとえば胸部のレントゲン写真を読むのに、肺炎の見落としなどの恐れを防ぐため、2人のお医者さんに読んでもらうのが、健診では主流になってきています。でも、現状のシステムでは1人の医者にしか送れないため、同時に2人の先生に送れるように改良するなど、新しい機能を追加することで、より世の中に役立てようと取り組んでいます。
既存のシステムを活かして、新たな領域を開拓しているわけですね。
あと、最近だとAIですね。診断の補助をする役割でAIを使っています。AIで確定診断をするのはまだまだ難しいと思うんですけど、たとえば、肺炎の疑いありというのをあらかじめAIが判断して、それを読影医にお伝えすることで診断の精度を上げる取り組みにも関わっています。
また、ユーザビリティの改善は常に行っています。お医者さんに使っていただくわけですが、やはり私は医者ではないため、どこが使いづらいのかがなかなかわからないので、都度、こういう改善をしたほうがいいよというご意見をいただいて、それに向けて随時開発をやっています。
お医者さんに直接話を聞くこともあるのですか?
フィールドエンジニアがいるので、私はしょっちゅう会いに行くわけではないのですが、使いづらいという要望が多いときには直接お伺いしたり、システムに強い先生のときはエンジニアのほうが話がスムーズだったりするので。
こうした開発の改善要望は常にあるんですか?
そうですね、常にあります。読影の先生、医療施設の受付の方々、撮影をされる技師、弊社のオペレーターなど、多くの方が関わっているので、結構いろんな方面から意見をいただきます。